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品川女子学院 漆校長の記事

2008年11月15日
この間から品川女子学院の校長の方の話が、日経ビジネスオンラインに連載されていて、結構興味深かったが、経済の激動の方に目を奪われて、多分ブログで取り上げてこなかったと思う。
 
創始者の曾孫として、一度外の学校の教師をやっていたのが、品川女子学院に着任し、学校改革に参画し、2006年から校長職にあるそうだが、その間に学院を人気の高い学校に再生させたらしい。最初に目を引いたのは、「人は変えられない」、「目標は伝わらない」、「人は管理できない」という言葉だった。人は変えられないというのは、最近結構あちこちで聞くようになった言葉だ。
 
変えられないのに、実際には、教師のやる気が出てきたというのは、どうしてか?人はおおむね、嫌なことにはなかなか気が向かない。ところが好きなこと、楽しいことにはやる気が出る。つまり人は皆やる気は持っているのだが、眠っていることもある。そのモチベーションのスイッチを入れる環境を整えることが大切だという。
 
自分が参画した企画が成功した体験の積み重ねが大切だということに気が付いて、会議の形を変えたそうだ。みなの意見をよく聞き、良いと思うものは採用していったそうだ。また生徒の意見も聞いたそうだ。
 
人は皆自分が正しいと考えているから、違う考えを押し付けられても、心からは従わない。目標は伝わらないのだと。でも共通の目標が見つかれば、一丸となって頑張ることができる。それでみなの意見を聞くことにしたとのこと。教師全員の話の中から出てきたのは、生徒が好きで、生徒の成長や喜ぶ姿を見たいという教師本来の願いだったそうだ。自分の目標が学校の目標となったとのこと。
 
それから小さな達成可能なことから実行し、成功体験から、改革を信じる気持ちが皆に芽生えたのだそうだ。6割準備できたらゴーの精神で行なっていったそうだ。失敗を恐れないということも大切だ。
 
そのことは生徒自身にも体験させていったそうだ。自分で選び、動き、責任を持つ人を育てる方向で教育しているとのこと。この漆校長のご両親(品川女子学院の先生だったそうだが)は「子供にまずやらせてみる」「体験させる」という子育てをなさったそうだ。うーん、大きい人間でないとなかなか難しいですね。
またリスクを取って、前に進める人間を育てたいとのこと。これもなかなか大変なことだ。社会では異端視されることもあるかもしれない。
 
そうは言っていても、漆校長も考えがぶれることもあったそうだ。ぶれない軸を持つことの大切さを認識するようになったそうだが、それは地道な日々の仕事の中で生まれてきたとか。また皆で決めた目標も次第に忘れてしまうこともあるとのこと。それを会議で思い出すように確認しているとのこと。たとえ失敗があったとしても、「チャレンジすることは失敗も含めて素晴らしいことなのだ」ということを生徒達には伝える努力をしているそうだ。
 
13日の記事は最終回だったが、「目に見える効率を追いすぎると大切なものを失う」という副題だった。効率ばかり追って、会議を減らしてメールなどで確認すれば良いと考えたが、かえって意思疎通がうまく行かなくなったそうだ。無駄のように見えても、全員で一緒に確認し、疑問をぶつけたりする中で、チームワークも良くなり、仕事もうまく運ぶことがわかったとのこと。私が関わる仕事でも、最近は、親会社側はメールで何でも済ませようとしているが、それで本当にいいのだろうか?とちょっと疑問に感じているところだ。
 
また、人と人との繋がりは微妙なバランスの上に成り立っていて、どの人・生徒も大切な存在だとも言っていた。ホント、無駄な存在なんてないですね。
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